2021年12月31日金曜日

2021年を振り返って

みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。
今年もブログを読んでくださり、ありがとうございました。
6月よりIRを担当させていただくこととなり、ブログ記事も書かせて頂くようになりました。感想などもお寄せいただきありがとうございました。

2021年、特に皆さまからの関心が高かったのは以下のトピックです。

中期計画について8/16
3月に発表した中期目標について2Q決算説明会で行った説明の補足です

窪田会長の退任について2/11
→今年の株主総会で退任された窪田会長の人間的な魅力について、岩田さんが書かれました

RayzeBioからマイルストーン受領6/10
→放射性治療薬について説明させていただいています

3Q決算について10/13
→思わせぶりなタイトルでしたが、単なる告知でした。R&D説明会を実施することをお知らせさせていただきました
 
もっともアクセスが多かったのは岩田さんのこちらのブログです
ペプチドリーマー (5/31)
→岩田さんが5月いっぱいで退職された際の投稿です。9年間のペプチドリームに関する思い出が書かれています
 
今年は、富士フイルム富山化学の放射性医薬品事業の取得など新たな方向性を出した1年であり、窪田会長・岩田部長がお辞めになったタイミングでもあったということで、ペプチドリームは今後どうなっていくのか?というご質問を多く頂きました。ペプチドをベースとした創薬を中心に進めていくという点にまったく変わりはありません。ペプチド創薬の可能性として放射性医薬品・コロナ治療薬・核酸医薬品などさまざまな面をお伝えさせていただきました。
 
来年も創薬研究を推進していき、また進捗をご報告したいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
 
橋の開通日が2022/3/12に決定しました。画質が悪くてわかりませんが、開通日を点灯しています。



2021年12月22日水曜日

業績予想の修正について

みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。
本日、業績予想の修正に関するお知らせを発表させていただきましたリンク)。
 
これまで、新たな創薬共同研究開発契約の締結に向けたフィージビリティ試験および交渉を複数企業と進めてきました。
しかし、臨床入りの遅れの説明の際にも記載させて頂いたのですが(リンク)、
コロナ禍で外部CROを含む研究リソースが逼迫している状況の中、交渉先の意思決定の際に必要なフィージビリティ試験の完了時期が想定より後ろ倒しとなったことなどにより、今期中に見込んでいた契約締結が来期にずれ込む見通しとなりました。

202112月期通期業績が2021年2月に発表した期初予想を下回る見込みとなったことから、業績予想数値の修正を行いました。
 
売上高 110億円以上(前回予想)→93億円(今回予想)
営業利益 50億円以上(前回予想)→43億円(今回予想)
経常利益 50億円以上(前回予想)→46億円(今回予想)
当期純利益 36億円以上(前回予想)→33億円(今回予想)
 
昨年は12/23Janssen社との契約を発表したため、12月の新規契約のリリースなどを心待ちにしていただいた株主の方も多いかと思います。今年も昨年同様、年末ぎりぎりまで交渉活動を続けておりましたが、クリスマスシーズンに入り、残念ながら業績予想を修正することとなりました。
 
来年は年初から研究開発活動と契約交渉を同時に進めていきますので、また良い進捗がご報告できるようにと思っています。
引き続きよろしくお願いいたします。

2021年12月21日火曜日

マイクロ波化学株式会社のプレスリリースで紹介されました

みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。

少し前の話になりますが、20211129日、マイクロ波化学株式会社より、ペプチド・核酸医薬等を対象とした固相合成装置「PharmaWave-1」が発売され、共同開発先として紹介されましたリンク)。

マイクロ波は電子レンジに使用されている電磁波のことです。研究室ではマイクロ波を用いたペプチド合成装置は汎用的に使われていますが、工業的に利用された例はありませんでした。
その理由として、電子レンジで温めることを考えていただくとご想像がつくかと思いますが、「ムラなく」反応させることが小さいスケールで可能でも、大きくなると難しいからです。また、マイクロ波が漏洩したり、他の電子機器に悪影響を与えてはいけないということもありました。

マイクロ波化学では、スケールアップした際の波の分布をシミュレーションし、ペプチド・核酸医薬品などに最適な設計を行ったということです。(ペプチドも核酸もパーツをつなげていくという点で合成化学の観点からは似ているということです)。

マイクロ波を用いることで反応時間の短縮・消費エネルギーの抑制につながり、より効率的なペプチド合成を行えることが期待できるということです。
 
どうぞよろしくお願いいたします。

こちらもご覧ください

2021年12月17日金曜日

R&D説明会 トピック③:その他プログラムの進捗

みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。
 
R&D説明会で説明した、その他の自社プログラムの進捗状況をご紹介します。

1.    PD-001
ヘマグルチニン(HA、インフルエンザワクチンの表面上に存在するタンパク質)を標的とした抗インフルエンザウイルス治療薬としての開発を行っているPD-001は、2019年に単剤での非臨床毒性試験がほぼ終了し、大きな問題がないことを確認していました。
ところが、2020年からのコロナウイルス感染症の発生・拡大により、インフルエンザウイルス治療薬の臨床開発は停滞したため、ライセンス活動を行うのに適切なタイミングではないと判断しました。
 
PD-001の今後の計画
 
2022年以降、最適なタイミングでライセンス活動を再開しますが、その間にPD-001の付加価値を高める活動を行っています。PD-001より体内で長期間効果を持続するペプチドを取得しました。また、もともとPD-001はヘマグルチニンのサブタイプの中でもGroup1株と呼ばれるものに強く結合するのですが、Group2株を阻害するペプチドの取得も実施しています。

2.    IL17阻害ペプチド
2019年からIL17阻害剤の研究開発を進めています。対象疾患となるのは自己免疫疾患や、アレルギーです。しかし、免疫システムは1個の経路を押さえても別の経路が活性化されたりと、非常に複雑です。従って、同時に複数の経路を抑え込むことが有効だと考えられてきています。現在、自己免疫疾患で臨床開発を行っているものを見ると、バイスペシフィック抗体(※)など、複数のターゲットに同時に働くものが主流となっています。
 
自己免疫疾患領域の主な開発品

ペプチドリームもIL17阻害ペプチドに、さらに別のサイトカイン阻害ペプチドを組み合わせる開発を検討中です。
※バイスペシフィック抗体:2種類の抗原に同時に結合することが可能な抗体。
 
3.    PG-001/002
ペプチグロースからPG-001/002の発売を開始したことはすでにお伝えさせていただきました(リンク1リンク2)。

これらは、細胞増殖・分化に関わるペプチドで、再生医療・細胞治療において細胞を増殖・維持したり、目的の細胞に分化させる際に培地に添加することを想定しています。
一方で、医薬品としての開発をペプチドリームで行っております。PG-001/002はすでに機能を示しているので、これらをリード化合物として開発を進めながら、様々な提携可能性を検討していきたいと思います。
 
引き続きよろしくお願いいたします。

2021年12月16日木曜日

クリスマスツリー

みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。
今年も入口にクリスマスツリーを飾りました。


写真に写っているのはペプチドリームに所属している車いすラグビー選手である田邉選手です!試合の際のぶつかり合いの衝撃など、リアルなお話をいろいろ聞かせていただきました。

少し前に、羽賀選手にも来ていただき、今年のご活躍についてお聞きしました。


私は今年はじめて車いすラグビーを観戦(テレビですが)したのですが、スピーディーな試合展開が面白く、ぶつかり合いの迫力に目が離せず、試合があっという間に感じました。
例年は両選手には体験会など、さまざまなイベントにご協力いただいていたのですが、今年はほとんどそのような機会がありませんでした。オミクロン株も予断を許さない状況ですが、来年以降状況が改善することを願っています。
 
多摩川スカイブリッジは、夜の照明が灯るようになりました。最近小学生による見学会も開催されたということです。


引き続きよろしくお願いいたします。

2021年12月15日水曜日

R&D説明会 トピック②:ペプチエイドのコロナ治療薬プログラムの進捗

みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。

本日はペプチエイドで実施しているコロナ治療薬プログラム(PA-001)の進捗について補足させていただきます。PA-0012021/11/11に非臨床試験完了と2022/1の臨床研究の開始についてリリースしましたが(リンク)、R&D説明会ではさらに、①緊急使用許可取得済みの薬剤との併用効果、②経口剤としての可能性、についてご紹介させていただきました。

    他の薬剤との併用効果

他の薬剤と併用することで、効果を数十倍に高めたり、投与量を減らすことができるというデータをご紹介しました。

    経口剤としての可能性

経口製剤技術を用い、経口投与により十分な血中濃度が得られることを動物実験で確認しました。これは、2021/8/27のブログでご紹介したような(リンク)、経口化するためヒットペプチドの構造を変えていくということではなく、製剤技術(元の薬にさまざまな物質を加えて実際に服用される形態にすること)によって経口剤として使えるようにするというコンセプトです。

これらはいずれも、PA-001の独自の作用機序や、変異株への効果に加えての優位性になると考えています。提携活動においてもプラスになる情報として活用したいと思っています。

ペプチエイドが取り組むコロナ治療薬開発の取り組みについて金曜日に放送されるガイアの夜明けで取り上げていただくことになりました。


放映日時:20211217()2200

放送局:テレビ東京系列

番組名:ガイアの夜明け「ワクチンの真実3~独占取材!国産開発の全貌~」リンク


また、ガイアの夜明けの放送に先立ち、テレ東BIZという経済動画サービスで取り上げていただきました。

ペプチド医薬品やPA-001について解説しています(リンク)。

こちらも併せて、よろしければぜひご覧ください。

引き続きよろしくお願いいたします。

2021年12月14日火曜日

R&D説明会 トピック①:Bristol Myers Squibb社とのプログラムの進捗

みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。

11/29に開催したR&D説明会で、Bristol Myers SquibbBMS)社とのプログラムの進捗についても説明させていただきました。

BMS社とは2010年に創薬共同研究を開始し、複数のプロジェクトを進めています。現状、PD-L1に関連する治療薬・診断薬が臨床試験にはいっています。

PD-L1阻害ペプチドとして開発を進めているBMS-98618920166月にフェーズ1試験に入り、201612月に終了しました(リンク)。

PD-L1阻害剤


試験の目的は薬物動態や安全性を確認することであり、良好なデータが取得されました。今後は新たなBMS-986189アナログに対する別の臨床試験を計画中であるとのことです。

食道・胃に関連する各種がんに対する診断薬として開発を進めているBMS-986229PD-L1阻害ペプチドに放射性物質である18F=放射性物質)を結合したPDC医薬品です。18FのシグナルをPET/CTで検知することで、PD-L1陽性のがん細胞の体内での存在の有無や分布を知ることができ、今後の治療方針(免疫チェックポイント阻害剤が有効かどうか)を決める際に役立つと考えられます。Clinicaltrials.govによると試験の終了は2023/11/12を予定しています(リンク)。

PD-L1への特異的結合


PET/CTとはPET(陽電子放出断層撮影)検査と、CTによる画像検査を組み合わせたものです。一般的なPET検査はブドウ糖に18Fを組み込んだ18F-FDGを用います。がん細胞は代謝が活発なので正常細胞より多くブドウ糖を取り込むため、ある大きさ以上のがんはPETで発見できると言われています。CTX線を用いて部位を絞って人体の輪切り画像を撮影していく装置です。一般的なFDG-PETはブドウ糖の集積という現象に基づくイメージング手法なので、MRICTなど、臓器の形態の撮影に秀でた検査と組み合わせることが一般的です。

BMS-986229PD-L1阻害ペプチドと18Fを組み合わせることで、PD-L1を発現している細胞に特異的に結合しシグナルを発生するため、FDGを用いる検査より高い精度でPD-L1陽性のがん細胞を検出できると考えられます。このように、薬剤ターゲットに特異的なPETイメージングが実用化されることで、治療方針の決定や治療効果の判定を迅速に行うことができ、がんのような進行性の疾患に対する治療の大幅な改善が期待できます。

BMS社のプログラムは2016年に臨床試験に入って以来、あまり進捗をお伝えできていなかったので、今回限られた内容ではありますが、可能な範囲で開示させていただきました。がん免疫の領域はBMS社にとって重要な領域の1つであり、薬剤の開発状況や市場環境の変化もある中で、当プログラムについての開発方針を考えているのではないかと思います。

今後も可能な範囲でアップデートをお伝えできればと思っています。

引き続きよろしくお願いいたします。

2021年12月10日金曜日

窪田前社長の連載が日本経済新聞に連載されました

 みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。

12/6から、ペプチドリームの窪田前社長の連載が日本経済新聞夕刊「人間発見」に掲載されていました。

生い立ちから、ペプチドリーム創業に至る経緯、創業当時の様子、現在社長をつとめるKSPで目指すことなど、時系列に沿って紹介されています。

海外でのIT・ライフサイエンス分野での大きな波に日本が乗り遅れたのは、ベンチャーを創出・育成する支援システムが未成熟であったという考えのもと、KSPでのベンチャー支援を進めていきたいということです。

ぜひご覧いただけたらと思います。
よろしくお願いいたします。

2021年12月7日火曜日

R&D説明会を開催しました

みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。
遅ればせながら、11/29に開催したR&D説明会の音声(リンク)を11/30に、QAのサマリー(リンク)を昨日12/6にホームページに掲載させていただきました。
 
R&D説明会は、研究開発の状況をR&Dを統括する舛屋から直接ご説明するという試みです。
  • 開発プログラムの進捗状況
  • 主要プログラムのデータの概要、今後の開発方針
  • PDC取り組みの進捗・方針
  • 研究開発体制の変遷と今後の計画
についてお話させていただきましたリンク)。
 
各プログラムの進捗状況についてはR&D説明会資料の4ページに記載しています。
パートナーとの共同研究開発プログラムについては守秘義務を負っており、「非開示・計画中」という記載が多いですが、自社/戦略的パートナーとのプログラムを中心に現状どのステージにあり、臨床入りをいつ計画しているのかという見通しを記載させていただきました。


現状臨床段階にあるプログラムは202110月にP1a/1b入りしたBHV-1100Biohaven社)を含め3プログラムです。
今年度期初に今期臨床入りプログラム数を48個、中間決算の際にはその前半に近い方である、とお伝えしました。これは、4ページの資料のNo3~6、912を想定していました。
しかし、Biohaven社のプログラムに代表されるように、新型コロナウイルス感染症の影響で臨床試験が全体的に遅れている中で、臨床入りについても当初の想定より遅れているものが多く、現時点ではBHV-11001プログラムとなっています。
また、年内の臨床入りを目指していたPA-001(ペプチエイド)については、年明けにずれこみ、2022/1の開始を計画しています(リンク)。
 
2022年はPA-001に加え、AZP-3813Amolyt社)の臨床入りも計画されています(リンク)。また、「計画中」と記載のプログラムも臨床入りの可能性があり、特に、診断薬としての開発プログラムは迅速に臨床に入る可能性があります。
プログラムの進捗については、これから四半期ごとにこのページを更新していき、より透明性を高めていきたいと思っています。
 
臨床入りのニュースを心待ちにしてくださっている株主の皆様が多いと思いますが、計画より大幅に遅れており、ご心配をおかけしております。
  • 新型コロナウイルス感染症の対応のため、医療機関が(特に新規の)臨床試験の実施に割けるリソースが限定されている
  • 特に海外の製薬企業において、研究所のシャットダウンやリモートシフトに伴って外部CROのリソースが取り合いになり、臨床入りに必要な非臨床試験データ取得に遅れが生じている
  • 製薬企業の臨床プログラム全体に遅れが生じる中、新たな臨床プログラム開始の意思決定も影響を受けている
などの、さまざまな複合的な要因による影響を受けたためだと考えています。
 
開発は継続して実施しているので、アップデートがあり次第、お伝えさせていただきます。
引き続きよろしくお願いいたします。