2021年7月30日金曜日

ペプチスターが化学工業日報で取り上げられました

 みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。
2021729日、ペプチスターが化学工業日報で取り上げられました(リンク)。

昨年末に17.9億円の増資を実施、出資企業はペプチドリームを含め22社にのぼります。
ペプチスターの強みはこの22社の株主が保有する合成・精製・固体化などの様々な技術を活用できるということです。
これまでの調達資金をもとに小スケールから大スケールまでのcGMP製造に対応できる2棟の製造棟を備え、足もとの受託も順調であるということです。

ペプチスターは2024年度に営業黒字を目指し、IPOも検討するということで、ますます独立性を高めていますが、開発と製造は連動しながら進んでいくので、今後も互いの成長のための連携を続けていきたいと思います。


アルナイラムとRNAi治療薬の領域で提携を発表しました

みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。
 
2021730日、ペプチドリームはAlnylam Pharmaceuticals(「アルナイラム」)とRNAi治療薬を送達するペプチド-siRNA複合体の創製・開発について共同研究開発を開始することを発表しました(リンク)。
これから共同で、肝臓以外の組織へRNAi治療薬をデリバリーするペプチド-siRNA複合体の創製を行っていきます。
 
RNAi(RNA interference、RNA干渉)1998年にA. FireC. Melloらによって発見された生体内の現象で、siRNAsmall interfering RNA、低分子干渉RNA)と呼ばれる小さなRNAの断片がmRNA(メッセンジャーRNA)からタンパク質が合成されるのを強力に抑制する(=サイレンシング)というものです。
RNAiが発見された当時、DNAの情報をタンパク質に変換する3種類のRNA(mRNA, tRNA, rRNA)以外のRNAの機能はよく解っていなかったため、非常にインパクトのあるものでした。
これは10年に一度の画期的な科学の前進とされ、2006年に発見者の2人はノーベル賞を受賞しました。 

RNAi治療薬とは、RNAiという現象を利用して疾患に関連するmRNAを分解することでタンパク質が合成されるのを抑制するというコンセプトです。



具体的には、疾患に関連するタンパク質をコードする
mRNAと相補的な配列を持つsiRNAを投与するというものです。この代表的企業がアルナイラムで、ノーベル賞の2人の博士によって2002年に設立されました。

しかし、RNAは生体内で分解されやすいという弱点があり、それを克服し、patisiransiRNA治療薬としてはじめて上市するのは2018年のことでした。

アルナイラムはそれ以降givosiran2019US承認)、lumasiran2020US承認)、inclisiran2020EU承認、Novarits社が販売)と次々とsiRNA治療薬の上市に成功しますが、これらの製品にはGalNAcの技術が使われています。

GalNAcは糖の一種で肝臓に多く発現しているASGPR(アシアロ糖タンパク質受容体)と結合し肝臓に取り込まれる性質があります。

核酸とGalNAcの複合体を作ることで肝臓へのデリバリーが効率的に行えるようになったのです。




今般のペプチドリームとアルナイラムの提携は、肝臓以外の組織に対しても、ペプチドリームのPDC医薬品のアプローチを使うことによりsiRNAをデリバリーしようという試みです。



特殊環状ペプチドのターゲットに選択性高く結合する特徴と、RNAi治療薬のサイレンシング効果を組み合わせることで理想的な特性を産み出すことができ、非常に強力な、今までのアプローチでは難しかったような新たな治療薬が作りだせるのではないかと期待しています。

アルナイラムが15年以上かけてsiRNAというモダリティを製品まで育てたというのは素晴らしく、いい意味での執念を感じます。
ペプチドリームは、ペプチド創薬のリーディングカンパニーとして、ペプチドのあらゆる可能性を追求していきたいと考えています。

引き続きよろしくお願いいたします。
 

こちらもご覧ください

化学工業日報でペプチスターが取り上げられました

 

参考
アルナイラムウェブサイト https://www.alnylam.jp/our-science
アルナイラム開示資料 Annual Report Advances in RNAi Therapeutics Platform

Special Thanks Nagatomo-san

2021年7月29日木曜日

ぺプチグロース、HGF代替ペプチド (PG-001)販売開始

みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。
 
2021728日、ペプチドリームの関連会社であるペプチグロースからHGF代替ペプチド (PG-001)の販売を開始することを発表しました(リンク)。
 
ぺプチグロースは昨年4月に三菱商事株式会社とペプチドリーム株式会社の合弁企業として設立されました。
ペプチドリームとぺプチグロースが共同で、数十種類の成長因子・サイトカインと同様の機能を持つペプチド(代替ペプチド)の開発を進めています。
 
細胞治療・再生医療において、細胞を増殖させ、目的の細胞へと分化(*)させる際に、成長因子とよばれる成分を少量加えることが必須です。
成長因子とは生体内で細胞の増殖・分化に関わるタンパク質などを指し、
① 動物の血清から抽出
② 遺伝子組み換え技術を用いた細胞に作らせる
などの方法で製造されています。

そのため、
・製造コストが高い
・製造ロットにより品質がばらつく
・不純物混入(血清や細胞中の成分など)
といった問題点があります。
 
(ぺプチグロースWebサイトより許可を得て転載)

HGFとは、Hapatocyte Growth Factor、肝細胞増殖因子のことで、c-METという受容体に結合することで細胞の増殖を引き起こす作用を持ちます。
8月より販売開始されるPG-001は、
    c-MET受容体への結合による活性化
    細胞増殖
の試験でHGFとほぼ同等の結果を示し、HGFの代替としての機能を持つことが確認できました。
 
ぺプチグロースとペプチドリームの共同研究開始から14か月で成長因子代替ペプチドの発売を開始することができ、年内にはさらにもう一製品の発売開始を予定しています。
まずは再生医療や細胞治療等の製品への利用のための研究に役立てていただき、将来的には再生医療・細胞治療等製品の製造に活用してもらうことを目指していきます。
 
ペプチドリームのPDPS技術がこのような形で再生医療を通じることによっても
役立っていくということを目指していきたいと思います。

どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。

*分化:幹細胞(いろいろな種類の細胞になることができる細胞)から特定の役割を持った細胞に変化すること。再生医療においては修復したい組織の細胞へ分化させることがポイントとなる。

2021年7月27日火曜日

武田薬品との提携を拡大しました

みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。
 
2021727日、ペプチドリームは武田薬品工業(「武田薬品」)とトランスフェリン受容体結合ペプチドに関するPDC医薬品の創製について提携を拡大することを発表しました(リンク)。
 
武田薬品とは202012月にこのトランスフェリン受容体結合ペプチドについて、神経筋疾患領域における包括的な共同研究および独占的ライセンス契約を締結していました。
 
今般、神経筋疾患に加え中枢神経系(CNS)領域についても共同でPDC医薬品の創製を進めることとなりました。
 
武田薬品にライセンスしたトランスフェリン受容体結合ペプチドは、JCRファーマ株式会社と20162月に開始した共同研究により20195月に創製に成功したものです。
 
トランスフェリン受容体は血液中に存在し鉄の輸送に関わるトランスフェリンを細胞内に取り込む作用を持ち、脳や筋組織に多く存在します。
 
トランスフェリン受容体結合ペプチドはトランスフェリン受容体に特異的に結合する性質を持ち、薬物を脳や筋組織に効率的に運ぶ役割を果たすことが期待されます。
 
また、今回の提携においては一時金の総額についても開示いたしました。今日開示した契約によって発生する契約一時金・マイルストーンフィーとして、総額で最大約3,900億円を受け取る可能性があります。
 
神経筋疾患領域での武田薬品とのパートナーシップが順調に進んでおり、
このようにさらにCNS領域へと提携を拡大できるというのは、
このトランスフェリン受容体結合ペプチドの可能性とペプチドリームの研究開発力への高い評価のあらわれであろうと思っています。

2016年に戦略的提携プログラムとしてスタートしたJCRファーマとの取り組みが進捗し、
今後武田薬品という強力な創薬研究開発パートナーとともに、
本格的なPDC医薬品としての開発が進むこと、大変楽しみに思っています。

2021年7月13日火曜日

新市場区分について

 みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。


2021年7月9日、株式会社東京証券取引所より

「新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果について」

を受領いたしました。

ペプチドリームは、プライム市場の上場維持基準に適合することを確認いたしました。

 

今後は、取締役会において新市場区分選択を協議の上

手続きを進めていきたいと思います。


新市場区分においても引き続き

ガバナンスの強化やサステナビリティに関する取り組みの推進を

行っていきたいと考えております。


どうぞよろしくお願い申し上げます。


2021年7月6日火曜日

橋の名前が決定しました

みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。


殿町と羽田をつなぐ新しい橋の名前が

「多摩川スカイブリッジ」

に決定したということです(リンク)。


羽田空港に近接することから

応募数上位20の中でもスカイに関する名前の応募が多かったみたいです。

 

今年度末の開通を予定しているということですが

開通後は橋の上から多摩川と飛行機を眺めるのが楽しみです。

 

どうぞ引き続きよろしくお願い申し上げます。


今日は雲に覆われていて青空は見えません




化学工業日報でペプチスターが取り上げられました

 みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。


昨日7月5日の化学工業日報で

「核酸医薬開発・製造受託、新たなフロンティアに、バッケム・ペプチスター参入」

の見出しでペプチスターが紹介されました(リンク)。


核酸医薬の開発・製造受託の需要が高まる中で

ペプチスターが核酸医薬とペプチドの複合体に対する取り組みを開始した点を

取り上げていただきました。


ペプチドリームでも

ペプチドと核酸医薬など他の中分子との比較をよくご質問頂くのですが

どちらかのモダリティが優れているというよりは

両者の強みを生かしたPDC医薬品としての組み合わせ

という点にも非常に注力しております。


核酸医薬はターゲットの核酸に対する効果は非常に強いですが

目的とする組織へのデリバリーが十分でないというケースもあり

ターゲットとする細胞や組織への特異性が高いペプチドを複合体にすることで

理想的なプロファイルを持つ薬剤を作製できるのではないかと考えております。


引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

2021年7月2日金曜日

設立15周年を迎えます

 2006年7月3日に設立されたペプチドリームは、明日設立15周年を迎えます。 
株主のみなさまをはじめ、様々なステークホルダーの方々のお陰で
創業以来15年間事業を続けて参りました。
改めて御礼を申し上げます。 

ブログを読んで下さっている方の中には 最近ペプチドリームのことを知った、
という方もいらっしゃると思いますので、 
今日は設立当時のことを振り返ってみたいと思います。

ペプチドリームはPDPSの中核技術であるフレキシザイム技術の開発者である
東京大学の菅先生と、 窪田前社長が2006年に設立しました。 
東京大学の駒場リサーチキャンパスの中、 
菅先生のラボの空きスペースで事業を開始したということです。 

その後、2010年にPDPSが確立し、 
Bristol-Myers Squibb社と創薬開発に関する共同研究開発契約を締結しました。

PDPSはPeptide Discovery Platform Systemの略で、
1兆種類以上の特殊環状ペプチドのライブラリーを作製し、
その中からターゲットに結合するペプチドを見つける技術で
非常に高い確率で薬のもととなるヒット化合物を見出すことができます。

創薬共同研究開発とは、 パートナー製薬企業の興味あるターゲットに対して
高い結合能を持つ特殊環状ペプチドを見つけ、提供するもので、
創業時から今までずっとペプチドリームの中核を成すビジネスモデルです。
この創薬共同研究開発により、 ペプチドリームは契約一時金(アップフロント、UF)、マイルストーンフィー(MS)、ロイヤルティーなどの対価を受け取ります。
これがペプチドリームの売上となります。

以降、技術面ではPDPSの自動化などPDPS技術の進化に加え、
PDPSから取れてきたペプチドを医薬品候補化合物に仕上げていくための技術、
例えばペプチド合成・標的タンパク質の立体構造解析・コンピュータを用いたドラッグデザインなど様々な技術を拡充してきました。

また、ビジネスモデルとしては 2013年より技術ライセンスを開始、
さらに戦略的提携による自社創薬に注力しています。

パトリック社長は2007年に入社、最も古くからいるメンバーの1人です。
これからのペプチドリームはパトリック社長のもと、
「Drug Discovery Powerhouse」として、 
強力なエンジンでペプチド創薬のグローバルリーダーを目指していきたいと思います。
今後も引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

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