2021年8月27日金曜日

細胞膜通過のための取り組み

みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。
 
2Q決算説明会では、テクノロジーアップデートとして細胞膜を通過させるためのペプチドリームの3つのアプローチをご説明させていただきました。
細胞内のターゲットを狙う時や、経口剤として消化管から体内に吸収させターゲットへと薬効成分を届けたい時には、薬剤に細胞膜を通過できるような性質を持たせることが必要になります。

ペプチドリームでは特殊環状ペプチドを用いた細胞膜透過に関する研究を継続的に行っており、4~5年前では難しかったことが100%とはいかないものの、着実に進歩してきています。

細胞膜透過性を持たせる3つのアプローチとは、
  1. ペプチドの最適化
  2. 受容体を介した細胞内取り込み
  3. 低分子化
です。
 
1.ペプチドの最適化
特殊環状ペプチドそのものに膜を通過する性質を付与し、細胞内にあるターゲットを狙う方法です。
細胞膜は脂質二重層で構成されているため、抗体のようなサイズの大きい分子や親水性の高い分子は通過することができません。
従い、ペプチドについても一定のサイズを超えるものや、極性の高いアミノ酸を多く含むものは膜を通過することができません。そこで、
  • サイズを小さくする
  • 極性を小さくするため、非極性アミノ酸に置換する
などにより膜の透過性を高めることが可能です。
しかし、一般論として、サイズを小さくすると選択性が低くなり、このアプローチはシンプルながら簡単ではなく、サイズの小さなヒットペプチドの取得を可能とするPDPSの技術アップデートの研究を続けています。

 
2.受容体を介した細胞内取り込み
PDCとしていつもご説明している技術も、細胞内へ薬剤を取り込ませる技術の1つです。
PDCは特定の受容体に選択的に結合する特殊環状ペプチドと薬剤の複合体のことであり、特定の受容体を通じて薬剤を細胞に取り込ませます。
先月発表させていただいた武田薬品との提携(リンク)では、中枢神経に薬剤を運ぶため、トランスフェリン受容体に特異的に結合するペプチドを使って薬物を血液から脳血管の内皮細胞を経由して脳実質に運ぶことを目指しています。
また、アルナイラムとの提携(リンク)では、特定の細胞の中にsiRNAを運ぶためPDCの仕組みを活用しようとしています。

 
3. 低分子化
慢性疾患の治療薬など、経口薬を狙うような場合は低分子化のアプローチをとることが多いです。
まず、PDPSを用いて、ターゲットに対して阻害活性をもつヒットペプチドをスクリーニングします。その後、ターゲットにヒットペプチドが結合した状態での立体構造を把握します。


「鍵と鍵穴」の例示でいうならば、鍵穴に鍵が刺さった状態で写真を撮ることで、鍵のどのくぼみが鍵を回す上で重要なのかの情報を取得することができます。こうした情報に基づいて、鍵のくぼみ部分と同じ機能をもつ低分子医薬品をデザインすることが可能となります。
低分子をダイレクトにデザインするより、PDPSを行うことでまず最初に正解を知り、その情報から逆算して鍵をデザインするというアプローチを取ることができます。
 
◆◆◆
細胞内のターゲットは、抗体医薬では狙うことができず、難しいとされているものも多くあります。
チャレンジングなテーマですが、ペプチドリームでは引き続き、一歩一歩取り組んでいきたいと思います。
よろしくお願いいたします。

2021年8月16日月曜日

中期計画について

みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。

2021年3月株主総会で発表した中期目標について、2Q決算説明会で補足説明を行いました。

ペプチドリームでは2017年に2022/6期までの中期目標として以下の項目を設定していました。

  1. 新薬の上市(承認・販売):1件以上
  2. 創薬共同研究開発契約先(企業数):25社以上
  3. PDPS技術ライセンス先(企業数):8社以上
  4. 臨床試験開始プロジェクト数:10件以上
  5. 研究員数(2022/6期末):120人
このうち3、5についてはすでに達成していますが、1、4のように今後1年間という時間軸では難しい目標も含まれています。
ペプチド医薬品が臨床試験に入るためのハードルの1つであった原薬製造体制についてはペプチスターの設備面の強化により解消しつつあるという状況です。ペプチスターでは小スケールから大スケールまでのcGMP/GMP製造に対応できる2棟の製造棟を備え、ペプチドリームもペプチドリームのパートナー企業も活用できる状況になっています。

一方、
・製剤(formulation)やそれに付随する安定性試験に時間がかかるケース
・コロナウイルス感染症の世界的流行の影響により、今臨床に入っている試験があまり進まず、臨床前のプログラムにも影響がでているケース
などもあり、後者はパートナー企業の臨床入りの意思決定にも大きく影響を及ぼしています。

このように前回の中期目標の制定時から事業環境が大きく変化する一方で、ペプチドリームのビジネスモデルも大きく進化したことから設立15周年という節目で新たな中期目標を制定することとしました。

「Drug Discovery Powerhouse」として、ペプチド創薬のグローバルリーダーを目指すという大きな目標のもと、具体的な項目を設定しました。



現在動いているプログラムについて今後の進捗・確度を吟味し、治療薬の上市品数4件以上、臨床入りしているプログラム数32件以上を設定しました。また、研究段階のプログラム数は160件以上としました。PDPSの自動化などオペレーションの効率化を進めながら、プログラム数を増やしていくことから人員数は220名以上としました。

臨床入りしているプログラム数32件のうち、臨床の前期段階と後期段階にあるものの比率は大体1:1、PDCとPDC以外(ペプチド医薬品・低分子医薬品)のプログラムの比率も大体1:1です。

Drug Discovery Powerhouseのあるべき姿についても以下のように設定いたしました。


ペプチド創薬におけるハブとして中心的役割を担うという業界の中での立ち位置に加え、非財務的な面においてもどのようなあり方を目指すか、ということを考え、この5点にまとめました。

事業の成長・サステナビリティへの取り組みの両面から今後も努力してまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

2021年8月10日火曜日

JPX日経インデックス400に選定されました

 みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。

ペプチドリームは2021年度(2021/8/31~2022/8/30)の「JPX日経インデックス400」の構成銘柄として選定されました。

JPX日経インデックス400は「投資者にとって投資魅力の高い会社」として東京証券取引所と日本経済新聞社が共同で算出しているインデックスであり、①3年平均ROE、②3年累積営業利益、③選定基準日時点における時価総額による定量スコアリングに加え、ガバナンスやディスクロージャー等の定性的要素の加点により決定されるということです。

今後とも企業価値の向上に努めてまいりたいと思いますので
引き続きよろしくお願いいたします。

2021年度第二四半期決算を発表しました

みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。
 
202185日、2021年度第二四半期決算を発表しました(リンク)。
売上高は28.7億円(前年同期比▲7.3%)、営業利益は8.1億円(前年同期比▲30.4%)と前年同期に比べ少し進捗が遅れておりますが、これは大型の提携が7月にずれこんだことによるもので、通期計画に対してはほぼ想定通り進んでいます。

2Qの主なニュースとしては
4/5 Bayer社との提携でリード・クライテリア達成
5/12 Sosei Heptaresとの提携でマイルストーン達成
6/10 RayzeBio社との提携で複数プログラムに関するマイルストーン達成
などをリリースさせていただきました。
そのような進捗もあり、リード化合物のステージのプログラムが20213月末から2つ増加し、16プログラムとなりました。
プログラム数の合計は20213月末から1つ増加し122です。

臨床試験入りプログラムについて、2020年度通期の決算説明会の際に48個とご説明いたしましたが、今般の2Qの決算説明会で現状の見通しとしてはこの前半に近い方であるとアップデートいたしました(詳しくは音声データをご参照ください)。
このうち、Biohaven社で実施している「BHV-1100(旧KP1237)」は決算短信の4ページに記載させていただいた通り、すでにPhase1/2試験の開始準備が完了しており、すみやかに被験者登録を進めてまいります。
臨床試験入りについては皆さまから高いご関心を頂いておりますので、アップデートがあればご報告させていただきます。
 
2Q決算ではそのほかテクノロジーアップデートや中期計画の説明もさせていただきました。これらについては次回以降のトピックとさせていただきます。
 
引き続きよろしくお願いいたします。

2021年8月4日水曜日

決算発表日について

みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。

当社の2021年12月期 第二四半期決算の発表は8月5日(木)の15時30分を予定しています。
また、機関投資家・アナリスト向け決算説明会は8月6日(金)の15時スタートの予定です。
決算説明会に使用する資料については、説明会の当日中に当社ウェブサイトに公開する予定です。

どうぞ引き続きよろしくお願い申し上げます。