みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。
本日2021年6月10日に、「ペプチド放射性医薬品に関する戦略的パートナー米RayzeBio社からのマイルストーンフィー受領のお知らせ」を発表しました。
RayzeBio社とは2020年8月にペプチド放射性医薬品の創製に関する戦略的共同研究開発契約を締結し、2020年11月に続き2回目のマイルストーンフィー受領となりました。
放射性物質を体内に注射しがんなどの治療に用いるアプローチはここ数年で大きく進歩し
この放射性治療薬は新たなモダリティとして注目度が高まっています。
放射線はがんの三大治療法の一つであり、
がん細胞をいわば物理的に破壊するので治療効果は高いのですが
身体の外から放射線を放射すると正常細胞へのダメージを避けられません。
放射性の治療薬は、放射性物質を攻撃したい細胞へ特異的に運び、
細胞レベルで放射線治療を行うというものです。
従い、正常細胞への影響が少ないと考えられます。
アメリカ国立がん研究所のブログでは放射性治療薬を
「今後10年~15年の放射性がん治療を変容させるだろう」と紹介しています。
RayzeBio社は2020年に設立された放射性治療薬を開発する企業です。
固形がんを対象に、がん細胞のターゲットに結合するバインダーとして特殊環状ペプチド、
放射性核種としてα線を放出するアクチニウム225を用いる点が特徴です。
RayzeBio社のCEOはKen Songさんという医師でもありサイエンティストでもある方で、
以前はNASH治療薬の開発を行うMatacrine社、
出生前診断の草分けでRocheに買収されたAriosa Diagnostics社など、
複数のバイオ企業を経営した経験のある方です。
ペプチドリームの特殊環状ペプチドは、
①特異性が高いこと、②サイズが小さく固形がんなどにも効率的に届くことから、
放射性の治療薬の運び屋として理想的な性質を持っていると考えています。
RayzeBio社との提携はまさにこの領域で新たな治療薬を戦略的に進めていくというもので、
ペプチドリームの特殊環状ペプチド技術の強みを最大限に活かせる内容だと思います。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
参考にしたサイト:
NIH (National Cancer Institute):
Radiopharmaceuticals: Radiation Therapy Enters the Molecular Age
Nature Reviews 19 P589 (2020):
Radiopharmaceutical therapy in cancer:clinical advances and challenges
こちらのブログも参照下さい: