2017年9月19日火曜日

マイクロ波化学の工場見学

みなさん、こんにちは。IR広報部長の岩田です。9月15日(金)にマイクロ波化学株式会社(以下 マイクロ波化学)の工場見学(大阪市住之江区)に行ってきました。

当社は17年5月24日にマイクロ波化学と「創薬プロセスの技術革新に向けマイクロ波を用いた特殊ペプチド量産設備の共同開発がスタート」というニュースを発表しています。

マイクロ波化学は、電子レンジにも使用されているマイクロ波技術を用いて、医薬、電子材料、食品、燃料など幅広い分野の「製造プロセス」を変革することで、工場の省エネルギーや新素材開発に取り組んでいる阪大発ベンチャーです。

ちなみに我々が家庭やコンビニでお世話になっている電子レンジは2.45ギガヘルツ(1秒間に24億5000万回プラスとマイナスの電界が入れ替わる)のマイクロ波を照射する装置で、水分子が振動し発熱することで食材を加熱する仕組みとなっています。

通常の工場の製造プロセスは、反応炉(リアクター)を電気やガス、蒸気等を用いて外部から加熱するため、全体が加熱されるまで時間がかかり、外側と内側で温度差ができるため全体が均一に加熱できませんでした。これに対して、マイクロ波による加熱では水分子を直接振動させるので、内部から急速に均一に加熱できるため、加熱時間が短く、省エネルギーです。私が見学した工場では、新聞用インクの基礎原料である脂肪酸エステルの商業生産を行っていますが、従来の方式と比べ、エネルギー使用量が3分の1、加熱時間(化学反応にかかる時間)が10分の1、用地面積が5分の1で、煙突もなく、とても経済的で環境にやさしいシステムとなっています。

工場内の写真を撮ることを許可してもらいました。写真①がマイクロ波発振器です。安全のためにリアクターとは壁で仕切られています。

                                         写真①  マイクロ波発振器


写真②の導波管を通じてマイクロ波が壁の向こう側にあるリアクター内に届きます。

                                          写真② 導波管


写真③がリアクターです。リアクターの内側はいくつかに区切られており、それぞれの段階で反応させたい物質に適した条件になるよう調節されています。リアクターと一緒に写っている2人が工場内の案内をしてくれたマイクロ波化学の社員です。ありがとうございました。

                                          写真③ マイクロ波リアクター(反応炉)


工場見学のあとにマイクロ波化学の代表取締役CEOである吉野社長と面談しました。5月24日のニュースリリースに「昨年から、両社により実験室レベルで特殊ペプチド合成に最適なマイクロ波反応系の開発を実施してきましたが、これをさらに進めてマイクロ波合成装置の開発を行います。」と記載されています。この進捗状況を伺ったところ、順調に進んでいますよとの回答をいただきました。吉野社長からは、自分たちの技術で100年以上ものづくりの方法が変わっていない化学産業を変革するんだという強い想いが伝わってきました。業種は違いますが、当社と通じるものがあるなぁと話をしながら感じました。