2022年4月14日木曜日

セラノスティクスについて

みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。
今回は、経営説明会でお話した次世代放射線治療であるセラノスティクスについてご説明します。
がんの三大療法の1つである放射線治療ですが、従来からの方法は放射線を外から照射するというものです。その場合、放射線が正常細胞にも照射されてしまい、骨髄抑制などの副作用につながります。一方、次世代放射線治療は以下のような方法で行います。

セラノスティクスとは

まずペプチドに軽めの放射性物質(=診断用RI(※1))を結合します。それを用いてPET(※2)診断を実施します。これにより、治療可能ながん細胞が体内のどこにあるか確認することができます。次にまったく同じペプチドを使って今度は治療のための放射性物質を結合させ、投与します。そうするとがん細胞特異的に放射性物質が到達してがん細胞の近傍で放射線を発生させることにより、がん細胞のDNAを切断します。この一連の流れによりがん細胞だけを殺すというピンポイントな治療が可能になります。

※1:RIradioisotope、放射性物質
※2:PETpositron emission tomography(陽電子放出断層撮影)。放射性の薬剤を体内に投与し、放出されるガンマ線の体内分布をPETカメラを使って画像化する診断方法

ペプチドリームのペプチドはこのキャリア―として理想的な性質を持っていると考えています。

Theranosticsのキャリアに求められる条件

特殊環状ペプチドの特長

選択性が極めて高い

目的とする細胞・組織へ特異的に集積

高い選択性を実現可能

素早く排出される

作用後の正常細胞への影響を最低限に抑制

薬物動態のコントロール/デザインが可能

品質管理が容易

放射性物質の数量・品質を厳密に制御

均質に化学反応でconjugationが可能











放射性物質のキャリア―に求められる性質と、ペプチドリームの特殊環状ペプチドの特徴を比較すると、非常に良く合っており、ペプチドは放射性医薬品の領域で長所を活かしやすいのです。

次回は次世代放射線医薬品の開発状況をテーマにお伝えしたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

こちらもご覧ください
(放射性物質をもちいた治療薬について説明しています)