みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。
4Q決算説明会では、汎用性の高い経口化技術のブレークスルーがあったとご説明させていただきました。
一方、経口剤の開発についてはいくつか越えなければならないハードルがあります。経口剤は主に小腸から体内に吸収されますが、その前に胃酸で分解されてしまったり、吸収されずに排泄されてしまいます。また、体内に吸収された後も血液に入る前に一部が肝臓で分解されてしまいます。薬剤を注射で投与すると100%血液に到達するのに対して、飲み薬の場合その比率は低くなります(この比率をバイオアベイラビリティといいます)。
経口剤のアプローチ
2021/8/27のブログ「細胞膜通過のための取り組み」で細胞膜を通過するペプチドを作るアプローチをご紹介させていただきましたが、「1.ペプチドの最適化」「3.低分子化」は腸管からの吸収率を高める目的にも応用することができます。さらに別のアプローチとして今回取り上げたのが製剤(formulation、フォーミュレーション)技術の活用です。製剤とは、薬の薬効成分に様々な化合物を加えて、実際に服用する形に加工することです。例えば、錠剤・カプセル剤のように安定性を高め形態を整える技術、消化管からの吸収性をコントロールする技術、苦みを感じないようにマスキングしたり口腔内で溶けやすくする技術も含まれます。
昔からある様々な技術をペプチドリーム独自の「レシピ」で組み合わせることで、体内への吸収を高める試みが奏功し、ある程度の法則性もあることから、汎用的に様々なプログラムに適用できると考えています。
経口化により製品を大型化することができ、製薬企業では対象疾患によっては経口剤にできない限り開発を行わないという方針も取りうるため、汎用的に経口化技術を適用していけるということはペプチドリームのビジネス面における可能性を大きく広げることになります。
今後の進捗を見守っていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。