2022年11月24日木曜日

PDRファーマとEli Lilly社が提携しました

みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。

2022/11/23PDRファーマとEli Lilly社がアルツハイマー型認知症に関連するPET診断薬の日本における共同開発契約を締結しました(リンク)。

共同開発を行うのはflortaucipir(18F)という化合物で、米国では2020/5Eli Lilly社が製造販売承認を取得し、Tauvid®という商品名で販売しています。flortaucipir(18F)PETを用いてアルツハイマー病患者の脳内に異常に蓄積したタウタンパク質による神経原線維変化(NFT: neurofibrillary tangle)を可視化する放射性診断薬です。

アルツハイマー型認知症においては、病態の進行に伴い脳内に沈着物が蓄積することが特徴ですが、その主なものがアミロイドベータ(Aβ)とタウタンパク質です。AβについてはAmyvid®(アミヴィッド®2012年に米国、2016年に日本で承認)など、プラークの可視化を目的としたPET診断薬が承認されており、タウタンパク質についても同様に信頼性が高く、高感度かつ低侵襲な診断方法が望まれている状況です。

タウは、中枢神経系の神経細胞に豊富に存在し、神経のネットワークを支える微小管を安定化するタンパク質です。タウタンパク質が過剰にリン酸化され、凝集体となり蓄積することでNFTsが形成され、微小管が不安定化し機能を喪失します。このようなことから、タウタンパク質の異常蓄積はアルツハイマー型認知症の悪性化に関わると考えられています。

PDRファーマとEli Lilly社はAmyvid®の日本における製品化を通じて強固な協力関係を構築してきました。今般、flortaucipir(18F)も共同開発することにより、Aβとタウタンパク質の異常蓄積を両方可視化できるようになり、アルツハイマー型認知症領域におけるPET診断薬の活用範囲がより一層拡大していくことを期待しています。

日本における承認取得後は、PDRファーマが国内での製造販売を担うことを予定しています。

 

参考:

Pharmaceuticals2021, 14, 110

アミロイドイメージング・タウイメージングの現状と展望