みなさん、こんにちは。IR広報部長の岩田です。7月19日(木)に「サステイナビリティへの取り組み(ESG)に関する情報開示のお知らせ」をリリースしました。何のことかよくわからないとの問い合わせがありましたので、背景も含めて少し説明します。
現在、機関投資家の投資先企業の選定には、大きな変化が起きています。これまでは足元の業績、キャッシュフローや利益率などの財務情報が企業価値の判断材料として主に使用されて投資が行なわれていたのですが、2008年のリーマン・ショックを契機に反省と見直しが行われ、企業の非財務情報も含めて、中長期的に成長が持続可能な企業かどうかを判断するという動きが主流になっています。企業の非財務情報の判断材料となるものがESGへの取り組みなのです。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance:企業統治)の英語の頭文字を合わせた言葉です。
これは特別なことではなく、人間の評価と同様だと思います。学生時代を思い出してください。学校での成績と社会性の両面から人物の総合評価がされていたと思います。主要5教科の成績がよくても、クラスで協調性がなく、ルールも守れない人間は、よい社会人として幸福な人生がおくれるかが懸念されるというのに似ています。
ペプチドリームとしては、環境(E)については、当社の中核技術であるPDPSは地球環境に極めて優れた技術という自負がありました。ヒット候補化合物を見つけ出す探索工程は、1本のミニチューブの中のわずか0.1ミリリットル程度の溶液中で行うという今までの常識では考えられないエコシステムだからです。
社会(S)についても、当社の代表取締役社長は米国人であり、従業員の女性比率についても40%と日本の主要製薬企業7社平均(23%)を大きく上回っており、政府が進める性別・国籍などで雇用や人事の社会的差別を行わないダイバーシティ(多様性)経営を実践しながら、雇用を増やし、成長を続けているという自負もありました。
しかし、これらはこれまで当社のホームページ(Webサイト)に情報として開示していませんでしたので、当社のESGに対する取り組みは専門の評価機関のレーティングで、情報なし扱いでゼロに近い評価となっていました。
「開示していないことはやっていないことと同じ」ということは機関投資家との対話で痛感しておりましたので、当社は今年に入り、金城や私を含めた社内4人でESGタスクチームを組み、対応を急ぎました。3月以降は毎週、会議を開催しESGの情報開示ページの作成を進めました。そして7月中旬の完成という目標を達成し、19日にWebサイト上の専用ページとして掲載しました。
今回作成したESGの情報開示は、環境(E)が3つ、社会(S)は4つ、ガバナンス(G)が3つの合計10項目を当社事業にとってマテリアリティ(重要性)の高い優先課題として特定し、それぞれに当社の基本方針と重点取り組みをまとめたものです。
当社の非財務情報であるESGへの取り組みは、優れている点もあると思っていますが、まだこれから改善していく点もたくさんあります。社長メッセージにありますように、当社は今後、サステイナビリティ(持続可能性)への取り組みの重要性を役職員が共有し、全社一丸となって取り組んでいくことを通じて、当社のミッションである「世界中の一人でも多くの方に『ありがとう』と言ってもらえる会社」を実現して参ります。