2018年4月27日金曜日

理論は難しいが、作業は容易で楽しいPDPS

みなさん、こんにちは。IR広報部長の岩田です。4月13日(金)に東京大学弥生講堂で開催された「微生物酵素による『ものづくり』」というテーマのシンポジウムに行ってきました。菅教授の講演を聞くためです。昨年6月にペプチドリームに入社してから菅教授の講演を生(ライブ)で聞くのは初めてでワクワクしながら行きました。会場は満杯で菅教授は「天然物から学ぶ特殊ペプチドと擬天然物創薬への道」と題して、パワフルな、自信あふれるオーラでの講演を約40分行いました。当社のベースとなる技術ながら「すっごいなぁ」と思って聞いてました。

私もペプチドリームに入社し11カ月が経ちましたが、社外の人間だった時と違った感覚で聞けたのは、菅教授の「技術のコンセプトは混ぜるだけ」という講演中の言葉です。本当にそうなのです。
PDPSの理論は難しいです。少なくとも高校生の生物の知識が必要です。でも、PDPSを使って医薬品の種となる候補物質(ヒット化合物)の探索を当社の研究所で行っていますが、新しく入った新人研究員が2~3週間の研修を受けることで扱えるようになり、即戦略となるのです。それは菅教授が目指した「混ぜるだけ」というコンセプトに基づいて構築された技術だからです。

製薬企業から送られてきた創薬標的タンパク質は磁性ビーズと混ぜるだけ。1兆種類以上の特殊環状ペプチドのライブラリーもリボソーム、フレキシザイム、アミノ酸、非天然型アミノ酸(人間の体を構成する20種類のアミノ酸以外のアミノ酸のこと)、tRNA、試薬などを混ぜるだけでできます。研究者は毎日、1兆種類以上の特殊環状ペプチドを作成します(活きの良さも特徴の1つだと私は思っています)。この2つを混ぜて、創薬標的タンパク質に結合した特殊環状ペプチドを磁石を使って回収し、その情報をもとにヒット化合物を創成していくのです。PDPSを用いると有望な候補物質がほぼ必ず見つかるので研究者は楽しそうに作業をしています(私も一度やってみたいと思っています)。当社の研究者の離職率がほぼゼロに近いことはここに起因していると私はみています。