みなさん、こんにちは。IR広報部長の岩田です。当社の関連会社であるペプチスター株式会社(以下 ペプチスター)が21日の午前11時にニュースリリースを出しました。当社は同日にペプチスターがニュースリリースを出したことを紹介する開示を行い、ペプチスターがホームページを開設していないため、同社リリース資料を添付しました。
同社のリリースにおける主なポイントは、AMEDと委託環境整備契約を締結したこと、及びAMEDから総額90億円の委託費の配分を受けることが決まったことだと思います。
順を追って説明しましょう。まずAMEDとは、正式名称を日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development)といい、英語の頭文字をとってAMED(エーメド)と呼ばれています。日本における医療分野の研究開発を推進することを目的に設立された独立行政法人(国立研究開発法人)です。文部科学省、厚生労働省、経済産業省からの補助金をもとに、医療分野の基礎的な研究段階から実用化な開発段階まで幅広く支援、推進するための予算の管理、配分を行っています。
AMEDが2016年度補正予算「未来への投資を実現する経済対策」を用いて、2017年度から新たに開始したプロジェクトに「医療研究開発革新基盤創成事業(Cyclic Innovation for Clinical Empowerment)」があります(略してCiCLEと呼びます)。革新的な医薬品・医療機器等の創出に向けて、政府出資を活用し、産学官が連携して取り組む研究開発を支援し、またその環境の整備を促進することを目的としています。ペプチドリームと塩野義製薬、積水化学工業の3社は、その公募の中の「イノベーション創出環境整備タイプ」に“特殊ペプチド原薬CMO創設”を応募し、17年8月1日に採択されました。この採択を受けて3社は特殊ペプチド原薬の製造受託機関(CMO)であるペプチスターを設立しました。
ペプチスターから出されたプレスリリースには、AMEDと委託環境整備契約を締結し、委託費が総額90億円と記載されています。この資金を用いて、ペプチスターは大阪府摂津市に延床面積6,000㎡強の研究開発・製造施設等を2019年夏までに整備する計画です。
もちろん、この資金は国民の税金等が基になっているものですから、いただけるものではありません。AMEDの資料によると、目標達成の場合は、委託費の全額の返済が求められます。ただし、その条件は環境整備の終了後から無利子で、15年以内に返済すればいいことになっています。ペプチスターは工場が稼働した後に、早期の黒字化を計画しており、大きな負担にはならないのではと予想されます。
AMEDが今年度から開始したCiCLE事業の事業費は合計で550億円であり、委託費の金額は1課題当たり総額1億円~100億円とされています。今回、ペプチスターへの委託費の総額90億円はほぼ上限といえ、高い評価が得らたものと私は思っています。