2017年8月23日水曜日

新たな布陣

みなさん、こんにちは。IR広報部長の岩田です。8月22日開催した取締役会において代表取締役社長の窪田が代表取締役会長、常務取締役のパトリックが代表取締役社長になる異動を内定しました(正式決定は9月27日開催予定の株主総会後です)。

驚かれた方が大半だと思います。16時30分のニュースリリース後にアナリストやマスコミからなぜこのタイミングなのか、リード・パトリックとはどのような人物なのかとの問い合わせが多数きました。その質問に対して私が答えた内容を紹介します。

2017年に入り、当社にとって2つの大きなイベントがありました。1つ目は、川崎・殿町に新本社・研究所が完成し、7月に稼働を開始したことです。これまで事業拡大の制約となっていた研究スペースの問題が解決し、研究開発部の人材の積極採用等により、スピード感をもって事業拡大にのぞめるようになりました。

2つ目は、特殊ペプチドCMO「ペプチスター株式会社」の設立を決定したことです。当社の「成長戦略 第3章」の目標である「特殊ペプチド医薬品を医薬品の主流にする」ことを成し遂げるためには、当社の提携先企業が安心して研究開発を進めることができる環境を提供することが必要であり、そのためには特殊ペプチド原薬の安定した大量生産体制を構築することが不可欠となります。

当社の将来を左右するともいえる2大イベントを今後のさらなる成長へ的確につなげることが今回の人事の主要目的です。

社長の窪田は、当社のビジネスモデルを構築し、会社の立ち上げから安定した黒字体質の構築に経営手腕を発揮してまいりました。“新たな会社を立ち上げ、経営を軌道に乗せ、早期黒字へと導く能力”をペプチスター株式会社でも発揮してもらおうと、窪田は9月1日に設立予定のペプチスター株式会社の代表取締役社長に就任する予定です。1日7~8件の投資家向けIRをこなす超人的体力を持った窪田ですが、さすがに現在の体制のままでさらに新会社の代表取締役の仕事を上乗せすることは負担が重すぎると思います。そこで、当社については代表取締役会長として、当社の経営全般の推進・監督、後進の育成に注力してもらう体制としました(楽隠居するわけではありません)。

一方、当社にとって当面の最大の課題は、新しい研究所を最大限活用することですから当社の研究開発部をリードしてきたパトリックが窪田の後任にふさわしいと考えられます。研究者に企業経営ができるのかと心配されるかもしれませんが、パトリックは米国ダートマス医科大学でバイオケミストリーの博士号を取得したのちに、米国ダートマス大学でビジネストレーニングも受けています。実際にパトリックは当社で海外のビジネス案件を取り仕切ってきました。取締役会で提携先企業でのプロジェクトの進捗報告を行うのがパトリックの役割であり、当社の提携先企業及び提携先予備軍の状況を最も詳しく把握している人物です。パトリックの肩書に代表取締役がつくことで企業との交渉がこれまで以上にスムーズにいくことが予想されます。

代表取締役社長に内定したパトリックに「新社長として何がしたいか、または経営のキーワードを英語でもいいから教えて」と質問したところ、「薬を出すこと。ペプチドリームの最初の10年は基礎作りであり、ペプチドリームの評判を高めるための10年間だった。これは出来て、世界でペプチドリームの評判は高いです。次の10年は実際に薬を出すこと、世界中の人々に薬を届けることが僕のやることね」との答えが日本語で返ってきました。

私は思わず「リックさん、すごいね」と言ってしまいました。

このIR広報ブログで7月3日が当社の設立11周年ですと紹介しました。パトリックはこれまでの10年間とこれからの10年間を分けて考えていました。パトリックの当社入社は2007年1月となっていますが、実際は入社する前から菅教授に頼まれて当社の仕事を手伝っていましたからパトリックは社内では創業メンバーといった存在です。窪田と菅教授の2人が、『たった一人でも良い。病気で苦しんでいる方に「ありがとう」と言ってもらえる仕事がしたい。』という夢で創業した精神をしっかり受け止めているからこそ、とっさの質問の答えに、当社の目的・使命であり夢である「薬を届けること」との答えが出てくるのだと思います。

私はバイオのアナリストとして18年間、国内外の主要バイオベンチャーをずっと見てきました。たいていの会社は2代目の社長をビッグファーマの研究開発担当者からリクルートし、その人物が大手製薬会社での体験を振りかざして、その会社のもつ企業カルチャーやビジネスモデルに合わずに失敗しています。

当社の2代目社長が外国人だというので心配される方がおられるかもしれませんが、パトリックは当社の創業時に東京大学の倉庫から机といすをもらってきて会社をスタートさせ、ペプチドに対する偏見が蔓延していた時代からコツコツと国内外の製薬企業へPDPSの有用性を伝え、提携先企業を積み上げてきた創業時を知る中心人物です。来日時にはまったく話せなかった日本語も当社の社員とのコミュニケーションをしっかりとるために努力して勉強して流暢とまでは言えませんが、日本語で会話ができるようになっています。

昨日、ニュースリリースの直前に川崎の本社・研究所にいた社員すべてにホールに集まってもらい、窪田から今回の異動を報告しました。狼狽する者もおらず、多くの社員が当然の人事と受け止めた様子でした。パトリックのあいさつの後に、全員が拍手しました。

当社は新たな布陣で「特殊ペプチド医薬品を医薬品の主流にする」ことにまい進してまいりますので、今後も応援よろしくお願いいたします。