2021年9月3日金曜日

富士フイルム富山化学の放射性医薬品事業の取得について

みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。

 本日、富士フイルムから富士フイルム富山化学の放射性医薬品事業を取得することを富士フイルムと合意したことを発表いたしました。

ペプチドリームではPDPS技術のPDC(ペプチド-薬物複合体)への展開を積極的に進めており、特にその中でも放射性医薬品領域における活用を重要戦略の1つと位置付けてきました。その理由は「RayzeBioからマイルストーンフィーを受領しました」で書かせていただいた通り、今後のがん治療を変容させる可能性のある放射性治療薬の領域において、特殊環状ペプチドの持つ特異性の高さ/サイズの小ささが運び屋として理想的な性質を持っているからです。
 
このような技術面でのシナジーに加え、本件では機能面でのシナジー事業開発面でのシナジーも見込んでいます。
 
機能面でのシナジーとは、両社の機能は相補的であるということです。ペプチドリームはヒット化合物の創出や最適化といった研究段階での強力なプラットフォームを保有していますが、今回取得する対象事業は、海外企業からの導入なども活用しながら国内において放射性医薬品(診断薬・治療薬)の研究・開発・製造・販売を行っています。両社の機能が組み合わさることにより、創薬~販売までのピースがすべてそろいます。それを活かし、今後両社で放射性医薬品のパイプラインの拡充をしていきたいと考えています。
 
実は、放射性医薬品の取り扱いには通常の医薬品の規制に加え、放射性核種の取り扱いに関する規制も受けることから参入障壁が高く、対象事業は日本における数少ない放射性医薬品領域のプレイヤーとして非常にユニークなポジションにいます。
放射性医薬品の特徴として放射性核種に半減期があるため、長距離・長時間かけての輸送や保管が難しく、各国ごとに異なるプレイヤーが存在しています。したがって、グローバルでの事業展開にはライセンスなどによるパートナリングが重要になります。ここで事業開発面でのシナジーを見込んでいます。
ご存じの通り、ペプチドリームは多くの共同研究開発パートナーや戦略パートナーとの協業を行っています。すでに放射性医薬品の領域でも複数のパートナーと提携を行っています。ペプチドリームのネットワークも活用しながら、今後イン・ライセンス、アウト・ライセンス、自社開発など様々な選択肢を考えていけると思っています。
 
ペプチドリームでは以前から、「競合が少ない領域で圧倒的な存在感を持つことで高い収益を目指していく」=「ニッチドミナント」を創出していくことを戦略としてご説明しています。
今般、特殊環状ペプチド創薬のプラットフォームに放射性医薬品事業のプラットフォームが加わったことで、新たな「ニッチドミナント」の領域を獲得できたと考えています。