2019年5月10日金曜日

JCRファーマとの共同研究の成果として、血液脳関門通過性を付与するキャリアペプチドの創製に成功

みなさん、こんにちは。IR広報部長の岩田です。当社は5月10日(金)の16時40分、JCRファーマとの共同研究における成果として、血液脳関門通過を可能とするキャリア(運び屋)としての特殊環状ペプチドの創製に成功したことを発表しました。

血液脳関門(BBB:Blood-Brain Barrier)は、様々な有害物質が脳組織を傷害するのを防ぐため、血液から脳内への物質の移行を制限する機能です。これが薬物の脳内への移行の障害となっており、中枢神経系疾患の医薬品開発において血液脳関門の通過が大きな課題とされてきました。

今回、両社の共同研究における成果として創製に成功したキャリアペプチドは、血液脳関門を通過し脳内に移行させたい様々な薬物に対し、このキャリアペプチドを付加すること(PDC:ペプチド-薬物複合体とすること)で血液脳関門通過能を付与し、薬物の脳内への取り込み効率を向上させる効果があります。

分子量が大きいタンパク質製剤(抗体医薬など)は、これまで血液脳関門を通過して脳内に移行することが極めて難しいとされてました。しかし今回の共同研究では抗体医薬について、このキャリアペプチドを付加することで血液脳関門上に存在するレセプターを介して、血液脳関門を通過し脳内に移行することを動物モデルで実証済みです。

今後、製薬企業等の第三者へのライセンス活動を開始します。私はこのキャリアペプチドの強みは、幅広い薬物(抗体を中心とするタンパク質、ペプチド、核酸、低分子化合物等)を脳内に移行させることができるところと考えています。これまで開発が進まなかった中枢神経系疾患等において医薬品開発が大きく加速する可能性を秘めており、今後のライセンス活動の進捗を楽しみに待ちたいと思います。