みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。
2023/4/20にポルトガルで開催されたEASL Liver Cancer
Summitでペプチドリームの戦略的提携先であるRayzeBio社がRAYZ-8009の初期的な前臨床試験の結果を発表しました(リンク)。
RAYZ-8009はグリピカン3をターゲットとした特殊環状ペプチドに放射性物質を結合させたRI-PDCです(RI:radioisotope、放射性物質)。
グリピカン3は正常な肝細胞や他の組織では発現されず、肝細胞癌において特異的に発現するため、放射性核種を結合することでがん細胞を特異的に攻撃する作用を期待しています。
試験の結果、RAYZ-8009について以下のような結果が得られました。
- グリピカン3に対する高い結合力
- グリピカン1, 2, 4-6には結合せず
- HepG2(ヒトの肝癌のセルライン)を用いた試験で肝細胞への迅速・効率的な取り込み
- HepG2担癌マウスを用いた動物実験によりがん細胞以外の組織への分布は少ないことを確認
- がん細胞に取り込まれ、がん細胞内にとどまる
- 腎臓で迅速に排泄
- それ以外の組織での取り込みはほとんど見られず
- HepG2を同所的にマウスに移植したゼノグラフトモデルにおいてもがん細胞に取り込まれ、がん細胞内にとどまることを確認
- それ以外の組織での取り込みはほとんど見られず
- RIとしてアクチニウムを結合させた225Ac-RAYZ-8009を、グリピカン3を発現した肝細胞癌を移植したモデルに投与したところ、有意に癌細胞の増殖を抑制
以上のように、RAYZ-8009が肝細胞癌に対するRI-PDC治療薬として可能性があるということを示す結果が発表されました。RAYZ-8009が臨床開発へと進捗していくことを期待したいと思います。