みなさん、こんにちは。IR広報部長の岩田です。今回は6月20日に発表したモジュラス株式会社(以下 モジュラス)と戦略的創薬研究契約を締結したというニュースを解説します。
今回の提携は低分子医薬品の開発強化ということができます。
当社の強みは、数兆種類の特殊ペプチドからなる独自の創薬開発プラットフォームシステム:PDPSを持っていることです。私はこのPDPSを医薬品に関する“打ち出の小槌”と思っています。当社のことを「特殊ペプチド医薬品」の開発会社と思っている方が多いと思いますが、現在はPDPSから見出された特殊ペプチドを創薬開発手段として用いることにより「低分子医薬品」や「PDC医薬品」の開発も進めています。
当社の新たな提携先であるモジュラスは最先端の計算技術を活用し、高速かつ効率的に低分子医薬品の候補化合物を創出することを目指している創薬ベンチャーです。創薬における計算化学技術分野(computational drug discovery)の世界的リーディングカンパニーである米シュレディンガー社で経験を積んだメンバーを中核として設立されました。
前回ブログで紹介しましたように、当社はJAXAと戦略的なパートナーシップ契約を締結したことで、標的タンパク質と特殊ペプチドが結合した状態での精密なX線結晶構造解析情報が得られることになりました。この情報から標的タンパク質のどこに、どのような形の結合スポットがあるかがわかります。この情報をもとにモジュラスが最先端の計算技術を駆使して迅速かつ効率的に低分子医薬品候補化合物を設計するのです。医薬品の開発は鍵穴と鍵の関係に例えられますが、当社が鍵穴の形状に対する精密な情報を提供し、モジュラスがその形状にピッタリの鍵を設計し作成するイメージです。
低分子医薬品の創製には行き詰まり感が指摘されていましたが、両社の最先端技術を組み合わせることで、これまで低分子医薬品の開発が困難だった標的タンパク質に対して、低分子医薬品の候補化合物の設計、創出が可能になると期待されるのです。