みなさん、こんにちは。IR広報部長の岩田です。当社は8月4日に米国カリフォルニア州サンディエゴに本拠を置くRayzeBio Inc(レイズバイオ社)との間で、ペプチド放射性医薬品の創製に関する戦略的共同研究開発契約を締結しました。
がん治療分野において、放射性医薬品の高い抗腫瘍効果への関心が高まっています。スイス・ノバルティス社が2018年1月に買収した放射性医薬品会社のAdvanced Accelerator Applications(AAA社)が開発した「Lutathera(ルタセラ)」は、β線を放出するルテチウム(Lu177)という放射線核種を用いた放射性医薬品ですが、2019年の売上高は前年比約2.6倍となる441百万米ドル(約480億円)と伸びており、ノバルティス社の業績のけん引役の一つとなっています。
当社が目指すペプチド放射性医薬品とは、当社がPDPSを用いて同定及び最適化した特殊ペプチドを“運び屋”として、がん細胞の殺傷能力の高い放射線核種(アクチニウムやルテチウム等)をがん細胞に存在する標的分子まで運ぶことで、がん細胞周辺の正常細胞を傷つけることなく、ピンポイントでがん細胞だけを殺傷する治療薬です。個人的には、がん治療薬で課題となっている薬剤耐性の問題も解決するポテンシャルをもっているとみております。
当社はペプチド放射性医薬品領域において、2018年に日本メジフィジックス社と、2019年にスイス・ノバルティス社と共同研究開発契約を締結しており、今回のレイズバイオ社との契約で、日米欧三極での共同研究開発のインフラが整いました。放射性医薬品は扱いが難しく、半減期が短いこともあり、今回の契約は当社が戦略的に取り組みを進めているペプチド放射性医薬品分野において、リーディングカンパニーとしての当社の優位性をさらに強化するものと考えております。